犀
  • 犀
  • 短歌
  • 詩
  • ラジオ

詩

2022.05.30 19:12

朝

朝の静けさに包まれたアパートの2階 角部屋少しのけだるさを抱えながらカーテンをあける今日もやってきた世界のはじまり肌寒いからコーヒーでも淹れようと湯をわかすやかんと日々親しくなる台所に流れる孤独は少し甘い息づく生命たちの名残り炎は青く冷たいがその冷たさこそが私を守る温かければたいてい美味しいぬくもりはきっと私の午後を救うだろう湯気と私歩き出すのは生きる希望の故幸せの深い溜め息朝をそっと掬う

2022.05.27 06:41

幸福も 絶望もこの胸で鳴っている

2022.04.03 03:15

宝石

この本屋の隅っこにちいさなちいさな詩集コーナーがある小説もファッション誌もあんなにあるのに詩集はこれっぽっち僕はちいさな詩集を手に取ってひらいたぱらぱらめくると八木重吉のあの詩があったこの本屋の隅っこに八木重吉の詩があると僕だけが知っている気がした本の海に眠る宝石はささやかなひかりを隠していた僕だけにわかるように

2022.03.29 23:01

鏡

この星のすべてに自らの心を見る今、立ち会っているものもあの日の後悔もあの人の優しさもこれからの夢も私が何度も解釈をする

2022.03.28 00:54

ひかる

ひとりここにいるおもうことはきっとやさしさちょっとさみしいけれどここだって地球だわたしの中にもひかるなにかどこかの街にもひかるなにかわたしはここにいてしずかにうたうひかれなにかきっと会える遠くても 近くてもふれあえる

2022.03.28 00:53

わからない

わからないそれでいいもっともっとわからなくなれわかったふりをしていたことに気づけ私たちはほんとうはみんなばらばらでなのにひとところに生きているのだわからないことは前提なのだ

2022.03.28 00:52

海の底へ

海を前に立ちすくむ言葉で海は描けないそれでも僕は言葉で海の底へ向かいたい美しいもので溢れる世界は幸せで残酷だ存在の肯定と深淵への希求僕が僕として生きて死ぬことどうか諦めないでくれどんなに世界が残酷でもどんなに孤独でも光は闇の中にある

2022.03.28 00:41

雨の日の喫茶店

名前も素性も知らない人たちがひとところに集まっている偶然のようで きっと偶然ではない手元には同じカップがある私はひとりになるためにここに来るひとりの幸福を忘れないために雨の似合う喫茶店が好きだ暗がりの中にある光苦みの奥にある甘み澄まさなければ聴こえない音大切なものはそう多くはないしかし日々の雑踏の中では掻き消されてしまう私はこれからも問い続けるだろう生きている間はきっと ずっとそれでもあの日ここで...

2022.03.09 05:50

忙しない 混沌溢れ返った言葉の中をぼくは泳ぎきれるだろうかはやくて便利な世の中でのんびりするには勇気がいるね果てなんてない だからいいんだぼんやり浮かんで 歌でも歌おう飽きたらきみとおしゃべりしようぼくたちもっとゆっくりいこう

2022.03.09 05:46

一日のうちに ほんのひとときでも無限を感じる時間があるといいそれは小さな灯りのもとでコーヒーを淹れるひとときただひとつのカップに向かい合いととと、とお湯を注ぐ部屋を暗くして ろうそくに火をともしジャズなどかけて コーヒーをすする身体の中で詩が香りだす掻き消してしまわぬようにそっと手帖に記しておく

2022.03.07 21:24

自然

完璧になろうとすると力が入る 視界が狭まる人間は自然の一部でそれ以上でもそれ以下でもないのに僕らはいつも思い上がってしまうけれど僕らは知っている自然がどんなに美しいかをあいまいなものの優しさをひとはみな脆いうつわだと言った人がいたうつわの美しさは内に宿した空白にあるきっと僕らはこれからも間違い続けるその予感はたぶん希望欠けたところは何度も継いで傷ついた君をそっと匿う

Page Top

Copyright © 2025 犀.

Powered byAmebaOwnd無料でホームページをつくろう