雨の日の喫茶店
名前も素性も知らない人たちが
ひとところに集まっている
偶然のようで きっと偶然ではない
手元には同じカップがある
私はひとりになるためにここに来る
ひとりの幸福を忘れないために
雨の似合う喫茶店が好きだ
暗がりの中にある光
苦みの奥にある甘み
澄まさなければ聴こえない音
大切なものはそう多くはない
しかし日々の雑踏の中では
掻き消されてしまう
私はこれからも問い続けるだろう
生きている間はきっと ずっと
それでもあの日ここで受け取ったものは
変わらず私の中にある
犀
溜息も肯定したい 感情の溢れるさまを世界に贈る
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