宝石


この本屋の
隅っこに
ちいさなちいさな
詩集コーナーがある

小説もファッション誌も
あんなにあるのに
詩集は
これっぽっち

僕は
ちいさな詩集を手に取って
ひらいた

ぱらぱらめくると
八木重吉の
あの詩があった

この本屋の
隅っこに
八木重吉の
詩があると
僕だけが知っている
気がした

本の海に眠る
宝石は
ささやかなひかりを
隠していた

僕だけに
わかるように




溜息も肯定したい 感情の溢れるさまを世界に贈る

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